Dashboard:観光地誘致圏(Tourism Market Area Analysis)

 観光地の誘致圏を地図やグラフでみることのできるダッシュボードを作成しました!BIツールのTableauを使ってます。誘致圏とは、観光地が観光客を誘致できる地理的範囲のことです。
 今回は箱根町を事例に、国内旅行者を対象とした誘致圏を扱っています。「観光流動ライン」と「誘致圏ポリゴン」の2つの空間データから、2019年と2020年における月ごとの誘致圏の変化を観測できます。コロナ禍前後の違いがよくわかります。
 研究費予算の都合で一部の月のデータを入手できていませんが、そこはご容赦ください。

箱根町を事例とした誘致圏の可視化

 データの入手から加工そして可視化までの流れは以下のイラストの通りです。

 ちなみに、観光流動ラインや誘致圏ポリゴンなどのデータは、企業提供の人流データ(スマートフォンGPSデータ)を、私が独自に加工したものになります。加工の手順は簡単に説明すると以下のようになります。
1)GPSデータから観光目的の来訪者を抽出
2)箱根町と観光客の居住地との距離を算出(→観光流動のラインデータ作成)
3)居住地を箱根町から近い順に並べて累積値がq%(q=30,50,80,90,100)となる距離を特定
4)q%誘致圏の形状や範囲を推定(→誘致圏の多角形ポリゴンデータの作成)

 箱根町と観光客の居住地との距離の計算上では、3種類の距離種別を扱っています。これは誘致圏の範囲や形状を決める大きな要素となります。例えば、ユークリッド距離(直線距離)は同心円に近い誘致圏の広がりをみせます。一方、時間距離は空間的に歪みのある、より現実的な誘致圏の広がりとなっています。

 この成果は、第16回地理空間学会大会にて発表済みのものになります。